一致

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人間関係で悩んだことはありませんか?相手に自分の気持ちが伝わらない、逆に相手の本当の気持ちがわからない…そんな経験は誰にでもあるものです。この問題の根底にあるのが「一致」という概念です。

心理学では「一致」とは、自分の内面の感情と外に表現する言動が調和している状態を指します。簡単に言えば「本音と建前が一致している」ということです。この「一致」こそが、真の人間関係構築の基盤となるのです。

傾聴の世界では、この「一致」がとても重要視されています。相手の話を聴く際、表面的な言葉だけでなく、その背後にある感情や価値観にも耳を傾ける—この姿勢が人と人との深い繋がりを生み出します。

一般社団法人日本傾聴能力開発協会の「傾聴サポーター養成講座」では、この「一致」について深く学び、実践的なスキルを身につけることができます。20年以上の傾聴教育経験を持つ心理カウンセラーから直接学べる貴重な機会です。

この記事では「一致」の概念から実践方法まで、人間関係を根本から変える傾聴の秘訣をお伝えします。自分自身と向き合いながら、周囲の人との関係も豊かにしていく—そんな一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

1. 一致とは何か?心理学から紐解く人間関係の基本と実践方法

「一致」という概念は、人間関係構築の基盤となる重要な心理学的要素です。心理学者のカール・ロジャースが提唱したこの概念は、自分の内側で感じていることと外側に表現することの整合性を指します。つまり、思っていることと言動が一致している状態を意味します。

人間関係において一致が重要な理由は明確です。私たちは無意識のうちに相手の言動に矛盾を感じ取る能力を持っています。例えば、「大丈夫です」と言いながら表情は険しく、声のトーンは低い場合、聞き手は違和感を覚えるでしょう。このような不一致は信頼関係を損なう原因となります。

一致した状態を実現するための実践方法としては、まず自己認識を深めることが挙げられます。自分の本当の感情や考えを把握することが第一歩です。次に、その感情や考えを適切に表現する方法を学ぶことが大切です。「I(アイ)メッセージ」を使うことで、自分の感情を主語にした表現ができます。例えば「あなたが遅刻するといつもイライラする」ではなく「約束の時間に来ないと私は不安になります」と伝えることで、相手を責めずに自分の気持ちを伝えられます。

職場や家庭など様々な人間関係の場面で、この一致の原則を意識することで、より深い信頼関係を築くことができるでしょう。心理カウンセラーのマーシャル・ローゼンバーグは「正直であることの痛みよりも、不誠実であることの痛みの方が大きい」と述べています。一致した自己表現は時に勇気が必要ですが、長期的には関係性の質を高める鍵となります。

2. カウンセリングの核心「一致」を理解する – 自分と向き合うことの重要性と効果

カウンセリングで重要視される「一致」とは、自分の本当の感情や考えと、表現している言動が合致している状態を指します。ロジャーズが提唱した中核三条件の一つであり、効果的な心理療法の基盤となる概念です。一致がない状態では、内側では怒りや悲しみを感じているのに、外側では笑顔で「大丈夫」と言うような不協和が生じています。

この不一致は、私たちの心に大きな負担をかけます。自分の本当の感情を抑え込み続けることで、心身の不調や対人関係の問題に発展することも少なくありません。精神科医のカレン・ホーナイは、このような状態を「本当の自己からの疎外」と表現し、神経症の原因になると警告しています。

一致を高めるためには、まず自己認識を深める必要があります。瞑想やジャーナリングなどの内省的な実践は、自分の感情に気づく良い方法です。例えば、毎日5分間、今の自分の気持ちをノートに書き出す習慣を持つだけでも、自己理解は飛躍的に向上します。

臨床心理士の間では「自分自身を理解していない人が、他者を理解することはできない」という格言がよく引用されます。心理カウンセラーがまず自己理解と一致を目指すのは、このためです。自分の内面と正直に向き合えるようになると、他者の感情にも敏感に反応できるようになります。

一致が高まると、人間関係にも良い変化が現れます。本音と建前のギャップが減ることで、コミュニケーションが明確になり、信頼関係が築きやすくなります。マイクロソフト社が行った職場環境調査でも、自己開示度の高いチームほどパフォーマンスが優れていることが示されています。

しかし、一致を目指すことは時に困難な道です。長年抑圧してきた感情と向き合うのは勇気がいることもあります。専門家のサポートを受けながら、少しずつ自分の内側と向き合っていくプロセスが大切です。精神分析家のウィニコットは「真の自己に近づく過程は、成長の軌跡そのものである」と述べています。

一致の状態を目指すことは、単なる自己満足ではなく、より健全な心と関係性を築くための基盤となります。自分自身と誠実に向き合うことから、真の変化は始まるのです。

3. 人間関係を劇的に改善する「一致」の力 – 傾聴スキルの核となる考え方

人間関係の悩みを抱える多くの人が見落としがちな「一致」という概念について掘り下げていきます。この「一致」とは、心理学者カール・ロジャーズが提唱した概念で、自分の内面と外面の言動が矛盾なく調和している状態を指します。

一致している人は、思っていることと言っていることに違いがありません。例えば、イライラしているのに「大丈夫」と言うことは不一致の状態です。この不一致が積み重なると、周囲の人はなんとなく違和感を覚え、信頼関係が損なわれていきます。

心理カウンセリングの現場では、この一致が最も基本的かつ重要なスキルとされています。なぜなら、カウンセラー自身が一致していないと、クライアントの本音を引き出すことが難しくなるからです。

ビジネスシーンでも一致の重要性は高まっています。会議で本当の意見を言えない職場環境では創造性が育まれず、結果的に企業のパフォーマンスも低下します。マイクロソフト社が行った調査によれば、心理的安全性の高いチームでは一致した発言が増え、イノベーションが生まれやすいという結果が出ています。

一致を高めるための具体的な方法としては、まず自分の感情に正直になることから始めましょう。怒りや悲しみなど、ネガティブな感情も含めて認識し、適切な形で表現する練習が効果的です。「私は~と感じている」というI-messageを使うことで、攻撃的にならずに自分の本音を伝えられます。

また、自分の価値観や信念を明確にすることも重要です。何を大切にしているのかがはっきりしていると、それに沿った言動ができるようになります。自分の行動指針を書き出してみるワークなどが役立ちます。

一致した状態を維持することは簡単ではありません。特に日本の文化では「本音と建前」が分かれることが多く、完全な一致を目指すことで逆に人間関係を損なうケースもあります。大切なのはバランス感覚で、TPOに応じて自分の本音をどこまで表現するかを見極めることです。

傾聴スキルを向上させたい方は、まず自分自身との一致度を高めることから始めてみてください。内面と外面の矛盾が少なくなるほど、相手も安心して本音を話せるようになり、より深い人間関係を構築できるようになります。

傾聴心理師 岩松正史

『20年間、傾聴専門にお伝えし続けている心理カウンセラー』

一般社団法人日本傾聴能力開発協会 代表理事。
毎年300回以上研修や講演で登壇し、東京で認定傾聴サポーター®の育成、カウンセラーなどの相談職の方の指導、企業向け研修や、社会福祉協議会でボランティアの育成をしています。

2つの会社を起業。元々は某コンビニチェーン本部で年商一億のノルマに取り組む営業、Webプログラマーに転職後、失業も経験したのちに心理カウンセラーに転身した経験から、気持ちという感覚的な正解を、理屈も交えて楽しく学べると人気の講師。

・公認心理師、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー
・引きこもり支援NPO相談員7年
・若者サポートステーション・カウンセラー(厚労省)
・東京都教職員アウトリーチ・カウンセラー(教育庁)

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